紅蓮舎

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倶利伽羅龍王の正体

倶利伽羅龍王は、不動明王の化身である。

倶利伽羅龍王は、インドの八大龍王の一尊。インド現地の八大龍王である。日本の八大龍王法華経を元にしており、そうではなく、インド神話における八大龍王のクリカ(Kulika)龍王のこと。陀羅尼集経には「鳩利迦龍王」とされる。


不動明王の智剣には龍(倶利伽羅竜)が巻き付いている場合もあり、この事から「倶利伽羅剣」と呼ばれている。

 

倶利伽羅龍がなぜ剣を飲もうとしているのか?と言えば、この剣は智達外道が神通力をもって顕現させたもの。対決した不動明王の剣が龍に変化し、智達外道の剣を飲み込んだという。智達外道はおそらくは六師外道の沙門のことだろう。


注目すべきは倶利伽羅龍王サンスクリット語[Kulika]だが、どうも八大竜王のクリカ竜王とは違う意味もあるようだ。


なんとシャンバラの王をクリカと言うらしいのだ。

 

正式にはルドラクリカ


Rudrakulika रुद्रकुलिक


またの名を


Rudracakrin रुद्रचक्रिन्


ルドラチャクリン


クラ(部族)を持つものという意味でその種族の族長がクリカと呼ばれているようだ。シャンバラは『時輪タントラ』に出てくる仏の聖なる国。


『時輪タントラ』は、シャンバラ王ルドラクリカが人類を仏教に教化して「金剛のカースト」という1つのカーストに統一し、カースト制度を消滅させる、またその際におこる外道勢力との最終戦争を説いた経典。


クリカという呼称に関しては、研究した学者により、学説間の論争になっている。ヒンズー教のヴィシュヌ派の影響の強いのが時輪タントラなのだが、クリカはサンスクリット語ではカルキと呼ばれるのでは?という説がある。ルドラでカルキなわけだ、ハリハラである。


クリカはスペルミスなのでは?とのこと。以下、ウィキペディア英文。


As explained by Buddhist scholar John R. Newman, the Kalki are often erroneously termed "Kulika" by Tibetan Buddhist scholars unfamiliar with the original Sanskrit texts:


しかし、英訳をしたJeffrey Hopkinsは、ダライ・ラマ法王の間近で長年研究していた学者で、彼がサンスクリット語のカルキを知らないわけがない。おそらくチベット語の発音だとクリカ "Kulika" に近いものだったのではあるまいか?


つまり、あくまで個人的な仮説だが、不動明王の化身である倶利伽羅龍王の正体は、シャンバラのクリカ龍王なのではあるまいか?というのが本稿の趣旨である。


クラ(部族)とは《来るべき種族》であり…、クリカとは龍をトーテムとする種族の王…クリカ龍王なのだ。シャンバラ王は地上のあらゆる武器を無効化して世界を征服するという。まるでヴリルパワーである。《剣を飲み込む龍》はまさにそれを表しているようでならない。


倶利伽羅龍王についてのお経には『倶利伽羅大龍勝外道伏陀羅尼經』というものがある。


佛説倶利伽羅大龍勝外道伏陀羅尼經


如是我聞。一時佛在王舍大城。爾時、寶幢陀羅尼菩薩、佛にもうして白く。「倶利伽羅大龍はいかなる因縁をもって利劍を呑飮し、四足を以て繞われるや」。

佛、寶幢陀羅尼菩薩に告げて言く。「昔、色究竟天魔醯首羅知勝城において、無動明王、外道と論ず。共に種種の神變を成智す。時に無動明王、成智火之劍を變ず。時に九十五種の外道あり。其首の人名は智達なり。又た智火劍を成ず。時に無動明王、智火大劍を變じて成る。倶利伽羅大龍に四支あり。降三世、軍陀利、琰魔都伽、金剛夜叉等四大明王也。王の頸に蓮有り、名ずけて智火含字倶利伽羅という。高さ十萬由旬也。口より氣を出し、二萬億の雷が一時に鳴るが如し。之を聞き、外道魔王、惡疑邪執を捨つ。


佛説陀羅尼曰

曩謨悉底 のうまくしってい 悉底 しってい蘇悉底そしってい 悉底伽羅 しっていきゃら羅耶倶琰參摩摩悉利 らやくえんさんままりし阿闍麼悉底娑婆 呵あしゃましっていそわか


此呪の威力により一切不詳を除き、諸魔王を降伏す。若し人有て靈氣に惱むものは。姓名を書き、此呪を以って誦すること三七遍すれば靈鬼忽然之○に焚燒するを得る。五辛酒肉を断ち、婦女穢執に染せず、一心に此呪を誦せば、一切の所求決定得圓滿す。時ならずして樹を開華せしめ、四海を山となし、妙高山を海と成す。此呪威力此呪功徳也。氷を焚くこと油の如く、心樹を凹すこと水の如し。一切皆な心に隨う。猶お跋伽梵の如し。故に重ねて偈を説いて曰く

修行者に奉仕すること 猶し跋伽梵の如し

三摩地上を得ること 菩薩と同位

倶利伽羅龍 彼の名字を稱念すれば

現に怖魔障を除き、 後に安樂國に生ず


佛此經を説くを聞き。一切惡魔王九十五種大龍王。大歡喜して信受奉行せり。


倶利伽羅龍王陀羅尼經 終

 

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参考サイトhttps://www.wisdomlib.org/definition/rudrakulika